ホンダS800 ウッドステアリングの再生
久々のブログ更新です。
クルマ好き家具職人による「デンモータース」を立ち上げてから、クラシックカー内装修理の問い合わせが大変増えてきました。
私も旧車乗りとして、お客様の並々ならぬ想いは痛いほど良くわかります。
何とかしてやらなければ の思いに駆られます。
今回は、クラシックカーショップ様から ホンダS800のフルレストアにあたり、純正ウッドステアリングの再生依頼です。
ウッドステアリングの修理は何度か経験があるのですが、再塗装or部分補修程度のものが大半でした。
今回はウッド部分を全て作り変える事になります。
S800は販売されてから60年近く経ち、永年の放置車両になりますと木部が剥離しバラバラになってしまいます。
金属部分は、錆が出ていますが磨けば再利用できそうです。
ネットで調べてみますと、S800のステアリングは当時、テニスラケットを製造しているメーカーが担当していたそうです。
薄い木材を重ねて曲木を行う、積層構造です。
今回は製作方法も出来る限り再現してみます。
専用の型治具を製作して、曲木接着します。
当工房では曲木は通常おこなってますので、そのあたりのノウハウはあります。
接着剤が硬化するまでの間に、スポーク部分の研磨を行います。
アルミ製ですので磨けば当時の輝きが取り戻せます。
曲木が完了しました。
同じものを3本製作します。
ステアリング表面には、黒いラインが入ります。
色の違う木材で再現します。
これを半分に割ります。
繋ぎ目は斜めにカット。
強度が増すとともに、最終的に丸く加工する事により繋ぎ目が目立たなくなります。
部品が揃いました。
鉄芯が入る溝を掘ります。
この様なサンドイッチ構造となります。
厳密にはオリジナルと違っているかもしれませんが、持てる技術で再現していきます。
クランプにて接着固定します。
クランプが外れた状態。
だいぶそれっぽくなってきました。
様々な豆鉋で削り出します。
ステアリングは握って回したり、コーナー出口では滑らしたりします。
僅かな凸凹はとても気になってしまいますので、神経を尖らせ慎重に削っていきます。
裏面はグリップとなる凸凹があります。
ここも再現していきます。
上手くいきました。
木部が完了しました。
次は塗装にはいります。
当時のオリジナルはどんな色目だったのか?
見本となるものが無く、様々な色を調合して試行錯誤。
ネットや雑誌を参考にして決定。
下地の着色が完了しました。
仕上げのクリアーを乗せて色味が決まる様に調色しています。
木の導管を埋める専用の下地を塗装してから、
仕上げのクリアーを塗っていきます。
人によって違いはあるかと思いますが、
塗膜を厚く仕上げるには刷毛塗りが経験上ベストです。
塗膜が乾燥して、磨きを掛ければ完成です。
厳密に言えばオリジナルと違った部分はございますが、
当工房は、こんな感じで再生を行っております。
お悩みが御座いましたらお問い合わせ下さい。